ユーロ/円相場は、120円の節目水準まで軟化する展開に。2月は125円の節目水準で膠着気味の展開が続いてきたが、25~26日のイタリア総選挙をきっかけにユーロが急落している。リスク回避ムードから円買い戻し圧力も強く、円とユーロ双方の要因からユーロ安・円高が促されている。
イタリア総選挙であるが、下院はベルサニ陣営が制する一方、上院はベルルスコーニ陣営が優勢となっており、明確な多数派形成には失敗する可能性が高い。緊縮財政を拒絶して退陣したベルルスコーニ前首相に対するイタリアの国民の支持の強さが確認される中、マーケットでは欧州リスクの蒸し返しに対する警戒感が強くなっている。連立政権樹立の動きも見られるが、マーケットでは再選挙実施の可能性も想定しており、リスクマネーが慎重姿勢を強めている。もっとも、ギリシャとは違ってイタリアは海外からの金融支援を必要としている訳ではなく、仮に緊縮財政路線が修正を迫られたとしても、直ちにデフォルト(債務不履行)といった最悪の事態を想定する必要はない。実際、イタリア国債は売られているものの、特にパニックムードは見られない。ユーロ/ドルは1ユーロ1.300ドル水準を試す可能性があるも、ユーロ/円相場に関しては一時的な下押し局面に留まる可能性が高いだろう。
一方、円サイドでは日銀の次期総裁人事を巡る思惑で一時的に円安に振れる場面も見られたが、それのみで更に円を大きく売り込むような動きは見られなかった。ただ、円売り環境そのものが変わった訳ではなく、ユーロ/円相場の下落余地は限定的とみている。週末にかけては米財政問題を手掛かりにもう一段階の円安是正が進む可能性も想定しておく必要があるものの、120円水準は改めてユーロ買い・円売りを仕掛けるポイントになるとみている。
今後1週間の予想レンジは、119.00~124.00円。